1.バッテリー容量とその使い方
バッテリーの容量には、80Aとか105Aとかありますが、実際どういう意味なんでしょう。
例えば80Ah(5HR)と表示されているバッテリーは、5時間率で80アンペアアワーと読みます。
5時間率とは、満充電のバッテリーを放電させて、5時間後にバッテリー電圧が10.5Vに降下した時までの総放電電流をバッテリー容量とする表し方です。
16Aで放電させ続けて5時間後に電圧が10.5Vに降下した場合、このバッテリーの容量は16(A)×5(h)=80Aになります。80Aのバッテリーは、単純計算で16Aで5時間放電できる能力があるバッテリーという事になりますが、40Aなら2時間放電できるという事にはなりません。放電電流の値が大きくなれば、使える時間は短くなる傾向にあります。
電子レンジ装備のお車も多いと思いますが、電子レンジの消費電力が約900W、インバーターを使って作動させると約75Aの消費電力となります。100Aクラスのバッテリーであれば、1時間は使えそうに思いますが、上で触れたように電流値が大きくなるほど、使える時間はどんどん短くなります。使用は5分〜10分以内に抑え、使用中・使用後は走行充電・外部充電で少しでも充電させた方がバッテリーの負担を抑えられます。またバッテリーは80Aあるからといって全て使えるわけではありません。
バッテリーは表示された容量の7〜8割位が実際に使える容量と考えた方が良いでしょう。容量を増やしたいといっても、ただバッテリーの数を増やすわけにもいきません。
基本的にはサブバッテリーは2台仕様までが一般的で、3台以上の接続は充電等の管理が難しいのであまりお勧めしません。この限られた中でいかに効率良く使うか。エンジンや発電機をかけて充電、ソーラーでまかなうなど方法はありますが、常に節電を心がけた使い方が大切です。
カトーモーターではバッテリー2系統、ソーラー2系統、外部充電、走行充電を一台でマルチニコントロールするCPU搭載のインテリジェントタイプのサブバッテリーコントローラーを開発し、販売しております(ペリー君)。
2.バッテリーの寿命はどれ位?
よくお問い合わせを頂く中で多いのがこの質問です。バッテリーの寿命は平均して3年前後といわれています。ただ、これは使ったらすぐ充電、また過放電や過充電に気を付けてしっかり管理された環境での目安です。弊社でおつくりする車両にはサブバッテリー保護のためのコントローラーが装着してあります。これにはバッテリー電圧が10.5V以下になると自動的に電気の出力をカットする機能が付いています。バッテリーの使用限界としてこの10.5Vが結構大事な数字になってきます。10.5Vまで電圧が下がると、照明であれば暗く感じたり、もっと消費電力の多い冷蔵庫などは動作しなくなったりしてきます。10.5Vよりもさらに放電させると過放電になり、充電をしても元の状態にはなかなか戻りにくくなってしまうのです。これはサブバッテリーを使う上での目安として覚えて頂ければ幸いですが、無負荷状態で(電気を何も使ってなく、充電もされていない状態です)
12.6〜12.8Vは満充電、
11.5〜12.5Vまでが安心して電気を取り出せる状態、
10.5〜11.5Vまでは使用は可能ですが、できれば使用を控えて充電をした方が良い状態、
10.5V以下は即使用をやめ充電が必要な状態になります。
バッテリーの電圧を常に気にして過放電させず減ったらすぐ充電、実際やるとなると面倒かもしれませんがこの事を徹底すればバッテリーの性能を長く維持して使う事ができるでしょう。繰り返しになりますが、安心して使えるのは11.5Vまで!そこまで減ったらできるだけ早く充電を!
3.バッテリー保護のために
バッテリーにダメージを与えてしまう代表的な原因として上でお話した過放電や過充電があります。過放電は10.5Vよりもさらに放電してしまった状態で、いくら繰り返しの充放電に強いとされるディープサイクルタイプの バッテリーでも過放電させてしまうと著しく能力が落ちてしまいます。過放電が重なってバッテリーに深刻なダメージを 与えてしまうと、いくら時間をかけて充電しても使い出すとすぐ空になってしまう状態になってしまいます。
こうなってしまうと元の状態に戻る事はほとんど無く、寿命=交換となってしまいます。
次に過充電ですが、充分に充電された満充電状態の時にさらに充電を重ねるとバッテリー内部で充電時における化学反応が進み、水素ガスの大量発生やそれによるバッテリーケースの膨張など、これも寿命を一気に縮める原因となってしまいます。
弊社製車両の充電器は過充電防止装置が内蔵されておりますのでこの心配はありません。
●実際バッテリーはどの位使えるのか?
それでは実際にキャンプに行って1晩過ごした場合のバッテリーの消費について、例をとっておおまかに計算してみることにします。
・装備品
消費電力 | 個数 | 消費電流(消費電力÷電圧) | |
---|---|---|---|
ドームライト(電球) | 15W | 1 | 1.25A |
蛍光灯 | 8W | 2 | 1.34A |
ハロゲン灯照明 | 10W | 1 | 0.8A |
LED照明 | 3.6W・2.4W | 各1 | 0.5A |
FFヒーター | 平均19W | 1 | 1.6A |
冷蔵庫 | 平均18W | 1 | 1.5A |
液晶TV・地デジチューナー | 計約60W | 各1 | 5A |
以上の電装品を、バッテリーがフル充電の状態から午後18:00から23:00まで、
23:00以降翌朝8:00まではFFヒーターのみ稼動させた場合の例をとります。
18:00〜23:00(5時間)
照明:合計3.89A 3.89A×5時間=19.45Ah
冷蔵庫:1.5A×5時間=7.5Ah
液晶TV・地デジチューナー:5A×5時間=25Ah
18:00〜翌朝8:00(14時間)
FFヒーター:1.6A×14h=22.4Ah
合計:19.45+7.5+25+22.4=74.35Ah
これだけの電気製品を使うと、1泊あたり約74Aの電気を消費する計算になります。
バッテリーの実質取り出せる容量が7〜8割という事を考えると、105Aのバッテリー1台で1泊が限界、 2台装備でも2泊が限界といった所になります。これは途中充電などが全くされていない前提ですので、 途中でエンジンをかけたり、走行したりという状態がはさまれば使用時間は延びる事にはなります。 冷蔵庫は出かける前に外部充電をしているうちから冷やしておく、電子レンジなど大きな電気を必要とするものはエンジンをかけながら使う、天気の良い日は充電できるようにソーラーなどを追加するなどなどキャンピングカーもこの限られた電気を外部充電・走行充電上手く利用して節約しながら使っていくかが重要になってきます。